あなたの楽器が「元気」に鳴ります!
「楽器の整体って何?初めて聞くんだけど。。。」
ほとんどの方がそう思っていらっしゃると思います。
楽器整体が今までのメンテナンスやセットアップと、一体何が違うのか?
そしてどんなメリットがあるのかをお伝えしてみたいと思います。
どんな調整をするの?
まず楽器整体は
・楽器本体のボディやネック、ドラムならシェルなどを調整
・損失正接の値を小さくする事でサスティンを長くする。
・各部鳴りのピッチ(振動係数)を出来るだけ均一に揃えるセットアップ
だとお考え下さい。
実際に作業する場合は整体に加えて
・オクターブ調整
・ピックアップ調整
・各ネジ部の増し締めを含むトルク調整
・ジャックを含む接点の点検、清掃
を行ないます。
どんな効果があるの?
作業が終わった楽器は以下の特徴があります。
・生音の音量感が増大する
・コードの構成音にコントラストが加わり、立体的に聞こえる
・サスティンが長くなる
・弦楽器の場合、テンション感が適切になり、弾き易くなる
・スネアドラムの音が、まるで顔に当たるように飛ぶようになる
・バスドラムの場合、音が真っ直ぐ飛ぶようになり、マイク乗りが良くなる
整体前の楽器と後の楽器の違いを、ギターなどの弦で説明します。
(ちょっと話は大袈裟になりますが)
ナットからブリッジ駒までの間におもりをランダムに複数取り付けて振動させると、キレイに「ブーン」と振動しない事が想像出来ると思います。
手あかがたくさん付いた弦で演奏すると、音がシャキーンとしない感じですね。
これが整体前の楽器の状態。
そんな汚れによって各部の重さがバラバラの弦を掃除してあげれば、かなり「ブーン」が改善されるのは何となく想像できるのではないでしょうか?
これが整体後の楽器の状態になります。
では実際にどうやってピッチを変えるのか?
木材には「損失正接」という特徴があります。
祖父江信夫先生(静岡大学)の論文によると、損失正接とは音が減衰しにくくなる現象だそうです。
実際に祖父江先生が110Hz〜170Hzの振動を5時間木材に与えたところ、損失正接の低減(サスティンが伸びた)状態になったと報告されてます。
これは局所的に詰まっている木材分子が振動によって安定化するものと考察されております。
楽器整体のしくみに関する学術論文はこちらからご覧下さい。
「木材の動的粘弾性の振動履歴効果」
祖 父 江 信 夫 岡 安 繁
私たちの楽器整体での施術は、以下の手順で行ないます。
・実際に楽器本体を軽く叩いたり触ったりしながら、ピッチが高い箇所を探す。
・該当箇所をゴムボールや素手を用いて叩くことで「低周波で振動」させ、ピッチを下げる。
・楽器全体のなかで、基準になるポイントを決め、そこに合わせて各部のピッチを調整する。
楽器整体を施された楽器本体は(考察ですが)木材分子が非常に安定した状態になります。
つまり、楽器本体が分子レベルで安定した状態になると思われます。
一度整体した楽器の鳴りが半年以上維持されるのは、このような理由からだと推測できます。
トッププロの楽器の生音が凄いのも、多分同じ理由からだと思われます。
この作業、慣れてくると木材だけじゃなくって金属でも判別出来るようになるんです。
シェルが金属製のスネアでも、各部をチェックするとピッチがバラバラです。
ただ、プロの方のピッチのズレ方には必ず同じ特徴があります。
車のタイヤで言えば、「均等に片減り」している感じです。
まだまだ駆け出しの若いドラマーの場合は、バラツキに法則性はありません。
以上、つらつらと長くなってしまいましたが、楽器整体について解説させていただきました。
でも文章では「空気振動の変化」は決して伝わりません。
興味をもっていただきましたら是非とも施術を体験してください。
楽器の根本が変われば、機材の入れ替えや設定の変化もダイナミックに感じる事ができます。
ピックアップ交換による音色の差も、面白い程よくわかります。
そして何より、皆さんの「音の聞こえ方」が変わります。
音楽って、まだまだもっと楽しくなるんです。
そんな事を一人でも多くの方に感じて頂けたら、心より嬉しくなっちゃいます!
まずは質問だけでも結構です。
この記事を読んで下さったあなたからのご連絡をお待ちしております!